princeton.log

Princeton 大学の Department of Computer Science に一年留学する日本人が、学んだことや感じたことを綴ります。

全学交換留学の概要とその出願プロセス~交換留学生になるまで(1)

さて、記念すべき最初の記事を書こうと思うのですが、あいにく僕の渡航は一週間後。まだ現地での生活について書けることがありません。
そこで今回は、僕が利用した全学交換留学のシステム、そして出願してから現在までの諸々の手続きについて紹介していきたいと思います。

全学交換留学とは?

僕が今回利用したプログラムは、東京大学全学交換留学(USTEP)です。
全学交換留学
簡単に言うと、東京大学に授業料を納めることで海外の協定校に1学期~1年の間滞在できるプログラムで、所属する学部・学科を問わず応募することが可能です。
例えばプリンストン大学の場合、通常の学部生の年間の学費は$51,870(500万円以上!)と、東京大学の約10倍になります。通常の10分の1の学費で現地の学校に通える、かなりお得な制度であると言えます。
ここで注意が必要なのは、「交換留学」という名前がついていても単位が認定されるとは限らないということです。留学先での取得単位が認定されるかどうかについては所属学科によって対応が異なり、僕の所属する理学部情報科学科では基本的に認定が受けられないようです。他の多くの学科でも同様に単位認定が受けられず、結果的に留年することになります。「どうしても大学は4年で卒業したい!」と言う場合は、事前に所属学科の担当者とよく話し合っておいた方がよさそうです。

出願プロセス

ここからは具体的な出願プロセスを、

  1. 学内選考
  2. 協定校での選考
  3. その後

の三段階に分けて紹介していきたいと思います。違う大学から出願する方や、違う大学に出願する方の場合は少し違った手続きになるかもしれませんが、ご了承ください。

学内選考

応募の流れ

全学交換留学 応募にあたっての注意事項・応募方法
上のリンクに全学交換留学の応募申請の流れがまとまっていますが、基本的にやることは「書類を揃えて、所属学部の担当窓口に出す」だけです。 上のリンクにある募集要項には「必要と判断された者については面接審査を行う。」と言う記述がありますが、知人・友人のうち面接審査の連絡が来た人はほぼいませんでした。今年度も同じ流れが引き継がれるとすれば、ほとんどの人は書類を提出した後ただひたすら決定通知を待つことになると思います。
ちなみに、昨年の場合では、書類の締め切りが10月末だったのに対し、決定通知が届いたのは1月末と、およそ3ヶ月のブランクがありました。長い・・・まあ気長に待ちましょう。

申請書類

申請書類についてもいくつかコメントしておきます。

学内申請書

申請書には、個人情報と志望大学(第一希望~第三希望)、及び志望動機や学習計画を書くことになります。
志望大学については、こちらに協定校の一覧と過去の志望状況があります。これを見ながら選びましょう。
統計情報
見てわかる通り、意外と応募者が多いので第一希望に必ず通るとは限りません。第二・第三志望まできちんと考えて記入することをお勧めします。
また、申請時には所属を希望する学部・研究科を記入することになりますが、大学によっては留学生の所属できる学部が制限されているので注意しましょう。僕は第二志望のワシントン大学で College of Engineering に所属を希望していたのですが、全ての留学生は College of Arts&Sciences に所属が義務付けられているらしく、少し手続きがごたつきました。
また、

  • 留学を希望する理由
  • 派遣先での学習・研究計画
  • 留学後の計画・進路

を日本語または英語で記入することが求められます。僕は日本語で、

  • アメリカでコンピューターサイエンスを学びたい理由
  • その中でも特にプリンストン大学で学びたい理由
  • 具体的に現地で取りたい授業や話してみたい先生

などを書きました。

所見事項

東京大学所属の教員の方に、「所見事項」という書類に記入してもらう必要があります。内容は基本的に4段階評価のチェックボックスにチェックを入れ、コメントを少し記入するだけなので、そこまで先生方の負担にはならないと思います。1~2年生だと関係の深い先生がいない場合も多いと思うので、授業を履修したことのある先生に連絡して記入してもらいましょう。僕は2年生の前期に履修した統計物理学の先生にメールで連絡し、記入して頂きました。

成績証明書

英文での成績証明書の添付が求められます。成績証明書自体は大学にいくつも自動で発行する機械が置いてあるので、簡単にとることができます。
成績は選考においてある程度重視されると聞いたことがあるので、留学を考えている人は今から勉強を頑張りましょう。

語学能力証明書類

ほとんどの場合協定校には、交換留学生になるための語学要件を定めています。英語圏の大学の場合はは TOEFL iBT/IELTS の要求スコアがある場合が多いです。
プリンストン大学の場合は、 TOEFL iBT 100点 or IELTS 7.0点 が要求スコアでした。僕は1年生の冬に受けたテストで幸運にもこれを超えることができたので、そのスコアを使って出願を行いました。
この手のテストは形式に慣れることでスコアが上がる場合が多く、また何度でもチャレンジすることが可能なので、交換留学への出願を考えている場合は早めにテストを受け始めることをお勧めします。

少し長くなってしまったので、今回はここまでにします。次回は協定校への申請やビザ申請など、東京大学への申請が終わった後のことを書いていこうと思うので、お楽しみに!