princeton.log

Princeton 大学の Department of Computer Science に一年留学する日本人が、学んだことや感じたことを綴ります。

プリンストンでの1日

この間久しぶりに会った大学院生の友達が、毎週木曜日にスマブラ大会をやっているということを教えてくれたので、今週はお邪魔することにしました。楽しみだなあ。
今まで書いた記事に毎日の生活の雰囲気が伝わるものが少ないことに気づいたので、今日は僕がこの前の月曜日にやったことを時系列順に紹介していこうと思います。

8:45 起床

大学の中に住んでいると、急げば起きてから15分くらいで教室までたどり着けるので、どんどん早起きができなくなっていきます。特に今学期は、僕は午前11:00以前の予定が基本的にないので、毎日かなり遅くまで寝ています。8:45でも遅いと感じられる方がいらっしゃるかもしれませんが、これでもここ1週間ではダントツの早さです。

8:50 朝食

最近は朝食としてはバナナを食べることが多いです。f:id:liwii:20200226134608j:plain Dining Hall にはバナナがたくさん置いてあるので、Dining Hall で食事をした時に持って帰ってきて部屋の棚に溜めています(ルール上OKだったはず・・・?)。朝から調理をしたりご飯を買いに行ったりするのは正直面倒なので、サッと食べて動き始められるバナナはありがたいです。たまに持ち帰るのを忘れてバナナを切らしてしまうのですが、そういう時は仕方なく学内のカフェでパンなどを買って食べます。ちょっと高いんですよね・・・

9:10 洗濯

ご飯を食べて少しダラダラした後は、地下の共同スペースに洗濯に出かけました。早起き(?)したのも、前日寝る直前に次の日着るものがないことに気づいたからなんですよね。
地下には洗濯機と乾燥機がどちらも置いてあり、洗濯物を入れてスイッチを入れれば勝手に洗ったり乾かしたりしてくれます。 f:id:liwii:20200226134058j:plainf:id:liwii:20200226134104j:plain 便利なんですが、一体型だともっとよかったですね・・・30分待ってから乾燥機に移す作業が地味に面倒臭いです。

9:20 ビデオ講義

着るものがないので、洗濯物を待っている間に地下の共同スペースで勉強して時間を潰しました。 今学期に履修している Analytic Combinatorics という授業は「講義のビデオを自分でみてね!」というスタイルなので、開いた時間にビデオを見ながら勉強を進めています。 f:id:liwii:20200226134107j:plain ちなみに、写真に写っている Sedgewick 教授は赤黒木という有名なデータ構造を考案したすごい人らしいです。

10:45 シャワー

洗濯物が乾いて、着替えられるようになったのでシャワーを浴びにいきます。 f:id:liwii:20200226134143j:plain この写真は部屋から出てすぐのところで撮ったのですが、この "12M" と書いてある扉の向こうに共用のシャワールームがあります。f:id:liwii:20200226134148j:plain シャワー自体はこんな感じで、脱衣所のようなものは中にありません。なのでほとんどの人は自分の部屋でタオル1枚の状態になってから廊下を通ってシャワーまでやってきます。こっちにきた当初はびっくりしたのですが、結局それが一番楽なので僕も同じような状態でシャワーに行っています。
流石にシャワールームは男女別なのですが、問題は寮には男女がごっちゃごちゃに住んでいることです。僕がバスタオル1枚の時に出かける女の子とすれ違ったり、逆に僕が出かけようとしたらバスタオル1枚の女の子とすれ違ったりします。気まずい・・・

11:00 出発

11:00から授業があったのですが、シャワーを浴びてからボーッとしていたら普通に遅刻してしまいました。急いで部屋を出ます。
僕の住んでいる 1903 Hall はキャンパスのど真ん中にあって非常に便利なのですが、不幸なことに僕の授業のほとんどは Friend Center と CS Building というキャンパスの端っこである建物で行われるので、ゆっくり歩くと10分以上かかってしまいます。この日も、ダッシュで Friend Center まで向かいました。 f:id:liwii:20200226134200j:plainf:id:liwii:20200226144016j:plainf:id:liwii:20200226134204j:plainf:id:liwii:20200226134336j:plain いつも思うことですが、大学全体が綺麗なので歩いていて気持ちがいいですね。この日は快晴だったので特にそれを強く感じました。

11:10 授業

10分遅れで教室に到着しました。この授業は "Innovation Across Technology, Business & Markets" という授業で、新しいビジネスを始めるときに、エンジニアとビジネスサイドの人を繋げる人間になろう!」的な授業で、主にコンピューターサイエンスの学生向けにスタートアップのオペレーションの話などをしています。僕は実はこの授業を履修していないのですが、割と興味のあるトピックなので出来るだけ聴講するようにしています。そのうち TwitterDropbox の CEO も(多分)来ると聞いたので楽しみです。
この日はざっくりお金に関する話全般をしてもらいました。世界で最も有名な投資家の一人として、孫正義さんのエピソードがいくつか紹介されたのが印象的でした。

12:30 昼食

月曜日は無料のお昼を食べながら最新の研究についての発表を聞くイベントがあるので、基本的にそれに参加しています。まさに一石二鳥です。 f:id:liwii:20200226145352j:plain この日は、強化学習においていかに汎化能力の高いモデルを作るか、という話でした。「特定の行動価値関数を与えた時に、その行動価値関数の意図をより強く反映する"真の行動価値関数"をモデルに推測させる」みたいな話だったと思うのですが、強化学習自体をそこまでよくわかっているわけではないのでしっかりとした理解はできませんでした。もっと勉強しないといけないですね・・・

13:30 宿題

次の授業は15:00からなので、この時間を使って宿題をやります。前半は、友達に宿題を教えて欲しいと言われたのでその子に宿題の説明をしていました。 "Advanced Computer Vision" という大学院向けの授業で、発展的な内容が多くかなり面白いのですが、先学期に開講されていた "Computer Vision" という授業と比べると歯ごたえがかなりあります。周りの人も「難しい」と思っていることを知るとちょっと安心です。
そのあとは、Friend Center にある工学部図書館に行きました。 f:id:liwii:20200226145403j:plain 正直あんまり好きな場所ではないのですが、授業の合間に訪れる場所としては1番アクセスがいいので、なんだかんだかなりの頻度でここに来ています。

15:00 授業

次の授業は "Programming Language" という大学院向けの授業です。Coq という定理証明支援系を使ってプログラムに関する様々な証明を行います。
まだ始まって3週間ですが、今のところ今期の授業の中では一番好きな授業です。Coq を使った証明はパズルを解くような感覚に近く、大量の宿題も今の所あんまり苦になりません。教えている Appel 教授も、プリンストンに来る前から是非お会いしてみたい方の一人だったので、直接授業を受けられることは本当に嬉しいです。

16:30 Independent Work のミーティング

今学期、僕は Independent Work という教授にアドバイスをもらいながら自分のプロジェクトを進める授業をとっています。そのアドバイスのためのミーティングは毎週月曜日の16:30からなので、授業が終わったらすぐにミーティングに向かいます。
僕の今期のアドバイザーは Kernighan 教授という方で、C言語UNIXなどの現在のコンピュータの基礎にある色々なものに関わっためちゃくちゃすごい人です。ダメ元でアドバイザーを頼んでみたらOKしてくださったので、とても嬉しいと共にちゃんとやらなきゃなあという身が引き締まる気持ちがします。
この日も、30分のミーティングで僕のプロジェクトに対して様々な提案をしていただきました。偉人と言っても過言ではない方なのに、ただの学部生のプロジェクトにしっかりとアドバイスをいただけるのは感動です。
ちなみに、僕が今期取り組んでいるテーマは「プレゼンテーションスライドの生成用のプログラミング言語」です。完成するといいなあ・・・

17:00 一旦帰宅

授業やミーティングなどの予定がだいたい終わったので、一旦部屋に戻ります。 f:id:liwii:20200226134406j:plain 明るかった空がだいぶ暗くなってきてますね。 キャンパスのどこにいても10分くらい歩けば自分の部屋までたどり着けるので、気軽に部屋に戻って一息つくことができます。時にはそれが仇となって無駄に部屋でダラダラしてしまうこともありますが・・・

18:00 夕食

月曜日は Forbes というところの Dining Hall で日本語テーブルというものが開かれています。プリンストンで日本語を学んでいる学生たちが日本語だけを話しながらみんなで夕食をとる、という企画で、僕も日本語を話したいときは参加しています。
プリンストンの外国語のプログラムは非常に厳しく、1年生だと毎日外国語の授業があるそうです。しかしその分上達も大きいようで、まだ1年しか勉強していない子でもかなり流暢に日本語で話すのでいつも驚かされます。僕も英語頑張らないと・・・

20:00 図書館で宿題

ご飯のあとは、Firestone という学校で一番大きい図書館まで行って宿題の続きをやりました。 f:id:liwii:20200226134435j:plain この日やっていた宿題は火曜日の哲学の授業のものです。授業の前に30ページくらいのリーディングがあるので、それをとりあえず終わらせます。
この回のリーディングは割と面白かったので、そこまで苦ではありませんでした。全部を説明するのは難しいですが、簡単に言うと、「黒いカラスをたくさん見ると、『カラスは全て黒い』という確率は高まる気がする。では、白い靴をたくさんみた時この確率は高まるのか?」ということです。皆さんはどう思いますか?

21:30 Murray-Dodge で休憩

集中力が切れたので、Murray-Dodge Hall という場所にある無料でクッキーが貰えるカフェで一休みします。僕はなんだかんだ毎日一回は来ている気がしますね・・・ f:id:liwii:20200226134438j:plain 毎日出てくるクッキーが違うのですが、この日に出てきたのはココナッツとアーモンドのクッキーでした。かなり美味しかったので、また出して欲しいですね。

22:30 帰宅

ちょっとだけ眠くなってきたので部屋に帰ってきました。Murray-Dodge は僕の部屋から近いので、2~3分で部屋まで帰ることができます。授業もここでやってくれればどんなにいいだろう。

23:30 地下で宿題

シャワーを浴びてから一休みするともうちょっと頑張れそうな気がしたので、寮の地下室まで行ってもう少しだけ宿題をすることにしました。わざわざ地下まで降りるのは、地下には熱湯が出る蛇口があるのでお茶を淹れられるからです。 f:id:liwii:20200226134442j:plain その日中に終わらせなければいけないことがある時は、寝る前にこの地下で粘って終わらせることが多いです。

1:30 就寝

宿題が行き詰まったので寝ることにしました。この次の日の朝に急に予定が入ったので、僕にしては早く寝たのですが、最近はもっと遅く2:30くらいに寝ることが多いです(この記事を書いている今も2:30です)。割と1:00 ~ 2:00 くらいになっても地下で宿題をしている子はよく見るので、僕が特別遅いというわけではない・・・と思います。

と、いうわけで1日の流れを書いてみました。少しでも学生生活の雰囲気が伝わるといいなと思います。

次回はクラブ活動の話でもしようかと思っています。それではまた来週。