princeton.log

Princeton 大学の Department of Computer Science に一年留学する日本人が、学んだことや感じたことを綴ります。

アジアンスーパー

試験が終わって、プリンストンは Intersession Recess (学期間休み)に入りました。とはいえ、日本の大学の春休みと違ってこの休みが続くのは一ヶ月だけですが・・・
さて今日は、授業もなく暇なので料理をするために食材を買いに行った話をします。

Woo Ri Mart

さて、プリンストンの寮には共用のキッチンがある場合が多いのですが、残念ながら大学の近くにはあまり食料品店がありません。この辺りに住んでいる人は所得が高いので、あったとしてもお値段が高めに設定されていることが多く、ちょっと僕には買うのが躊躇われます。(同じ寮に住んでいるイタリア人は日頃からお高そうなプロシュートやワインを買ってきていますが・・・)。大学内の売店で買えるもので食材と呼べそうなものはせいぜい卵とベーコンぐらいで、休み期間の暇つぶしとしては少々物足りないです。
そんな時のアジア人の味方が、隣町にある Woo Ri Mart です。ここは韓国系のアジアンスーパーマーケットで、韓国はもちろん、日本や中国、さらには東南アジアの一部の国の食材を幅広く扱っています。今調べたのですが、Woo Ri (우리) は韓国語で 「私たち」 という意味だそうですね。
先ほども言った通り、この店は "Princeton" の隣の "Princeton Junction" という街にあり、二つの街は4kmほど離れているので、訪れる際には電車かUberを使うことになります。今回はもう一人の灯台からの留学生と二人でUberを呼んでいきました。

店内

店内はこんな雰囲気です。普通のスーパーですね。
f:id:liwii:20200129050406j:plain 商品の説明に英語と韓国語が併記されているところに韓国系の雰囲気を感じます。
f:id:liwii:20200129050408j:plain 納豆やキムチ、辣油といった各国に特有の食材も置かれていて、みているだけでも楽しいです。個人的な意見ですが、日本の食材でポピュラーなものはだいたい置いてある気がします。
f:id:liwii:20200129050419j:plain f:id:liwii:20200129050424j:plain f:id:liwii:20200129050425j:plain 出来合いの惣菜も置いてあります。韓国料理は本当に美味しそうです。一方でてんぷらはちょっと残念な見た目のような・・・
f:id:liwii:20200129050415j:plain f:id:liwii:20200129050413j:plain 個人的に嬉しいポイントは白米が置いてあることですね。こちらの米はほぼ粘りのないインディカ米で、日本で食べていたような米を食べる機会はなかなかないので、ここで手に入るのは大きいです。僕は前回にきた時に1パック買ったので、たまに寮のキッチンで炊いています。
f:id:liwii:20200129050416j:plain 食材だけでなく、店内BGMがK-POP(たまにJ-POP)だったりとか、トイレの「手を洗いましょう」という注意書きがアジア各国の言葉で書かれていたりだとか、店のアジアンな雰囲気づくりの努力を感じました。一方で、肉とか野菜も普通に売っているので、アジア系ではなさそうな人も結構店内では見受けられました。アジア人のためのスーパーであると同時に、地元の人々のための食料品店でもあるようですね。

買ったもの

今回は、煮物が作りたい気分だったので白菜・大根・鶏肉を買ってきました。特に白菜と大根はどこのスーパーでも買えるわけではないので嬉しいです。(写真は料理を作った後のものなのでちょっと使った形跡がみられます)
f:id:liwii:20200129050448j:plain f:id:liwii:20200129050454j:plain その他食べるラー油やごま油など、個人的に欲しかったものもいくつか購入しました。さらに、今日はプリンストンの日本人大学院生の方のお宅で鍋パがあるのでそのためのお菓子とお茶も購入しました。
f:id:liwii:20200129050457j:plain 全体的に思うことですが、アジアンスーパーで買える日本の食材は高いです。写真のポテトチップスとお〜いお茶は合わせて$8以上します。Uberにも二人で合計$20ほどかかっているので、総合的に見るとプリンストンの高級スーパーより高くついているような・・・?まあ買い物は楽しかったのでよしとしましょう。

きりたんぽ (おまけ)

と、いうわけで帰ってきてから煮物に合わせるためのご飯を意気揚々と作り始めたのですが、前回は成功したフライパン炊飯が今回は全くうまくいかず、ベシャベシャなのに芯は残っているとんでもないものができてしまいました。Googleで調べると「きりたんぽにすると良い」という話だったので、きりたんぽを作ってみることにしました。
まず、ベシャベシャのご飯をボールにあけて手で潰していきます。共用キッチンなので「何やってんだこいつ・・・」という目でみられますが気にしません。 f:id:liwii:20200129050427j:plain 潰したご飯をお箸の周りに纏わせてから外して、まな板の上で転がして整形して筒状にします。 f:id:liwii:20200129050429j:plain あとはフライパンの上で焼き目が着くまで焼く!! f:id:liwii:20200129050432j:plain f:id:liwii:20200129050439j:plain なんとか食べられそうな状態になりました。
と、いうわけで白菜と大根と鶏肉の煮物にこの「きりたんぽ」を入れて食べてみました。 f:id:liwii:20200129050443j:plain 煮物自体はめちゃくちゃ美味しかったです!骨まで入れて煮込んだからか鶏肉の旨味がしっかり出ていて、それがみりんと醤油の風味と一緒に白菜に染み込んでいます。これがあれば何杯でも白米が食べられる気がします。残念ながらこれと一緒に食べるのはご飯ではなくきりたんぽですが。
肝心のきりたんぽはというと・・・うーん・・・。表面は焼けているんですが、中身の水分は全然抜けていないので、なんだかお粥に硬い衣をつけてあげたような感じがします。僕がそもそも硬めのご飯が好きなのもあいまって、ちょっと残念な出来に感じました。僕は実は本物のきりたんぽを食べたことがないのですが、ちょっとこれをきりたんぽと呼んだら秋田の方々に怒られそうな気がします。まだ1/4くらいしか食べていないので、なんとか美味しく食べる方法を探していきたいと思います。

今見返すとほぼきりたんぽの話でしたね・・・
来週は成績が全部出ると思うのでそのあたりの話か、新学期で何か変わったことがあればその話をしたいと思います。だんだんネタが切れてきた感があるので、アイデアを書き込んでいただけるとめちゃくちゃ助かります!

果たして僕は英語ができるようになったのだろうか

火曜日に最後のレポートを提出し、僕のプリンストンでの秋学期が終わりました。少し肩の荷が降りた一方で、秋学期のみで帰国してしまう交換留学生の友人も多く、彼らと別れる寂しさも感じます。
丁度留学も節目を迎えたということで、今日は今自分が思っていることを書こうと思います。テーマは「英語」です。海外に留学する人々を見渡してみると、理由に「英語がうまくなりたいから」というのを挙げている人が少なくないように思えます。確かに、英語でしかコミュニケーションが取れない状況に一年もいればそれなりに英語ができるようになるような気もしますが、一方で「一年程度じゃそこまで変わらない」という人たちもいます。それらを踏まえて、ここまで四ヶ月の留学での自分の変化を考えると、なるほど確かに英語がちょっとうまくなったような気がする一方で、実は何も変わっていないのではないかという不安も覚えます。明確な結論はありませんが、今思い浮かぶことをできるだけ書き連ねていきたいと思います。

日本にいた頃

大体の留学プログラムでは、出願の前に語学のテストを受けて一定のスコアを取ることが必要です。留学生が渡航後にあまりに語学に苦しむことを避けるわけですね。東京大学からプリンストン大学への留学についてもそれは例外ではなく、TOEFL iBT 100/IELTS 7.0 というスコアを出願前に満たす必要がありました。僕はTOEFLでこのスコアを満たしていたので、プリンストンで勉強するのに不自由のない英語力を持ち合わせている・・・はずでした。
TOEFLで証明された僕の「英語力」にはいくつか問題があります。まず、テストの受験から渡航まで時間が空きすぎていたこと。僕がTOEFLを受験したのは2017年の12月、一方でアメリカにやってきたのは2019年の9月。おおよそ2年のブランクがあるわけです。東京大学、少なくとも僕の学部には、残念ながら(幸いなことに?)2年生以降では英語が必要な必修科目がありませんでした。留学の語学要件も満たして安心していた僕は、留学直前の二年間、日常的に英語に触れる機会がほぼありませんでした。
また、留学において必要になるであろう Writing/Speaking の能力がそこまで高くないという懸念点もありました。そもそも僕のTOEFLのスコアは、Reading と Listening で低い Speaking を補うという日本人受験生にありがちな分布をしていました。また、TOEFLの Writing/Speaking のフォーマットはかなり固定されています。そのため、実力が伴っていなくても形式にさえ慣れてしまえば点数が上がるようになっていると個人的には思います。例えばSpeakingで言えば、第一問は必ず「ある意見を紹介され、それへの賛成/反対とその根拠を45秒で考え、15秒で答える」という問題が出ます。僕は「適当な嘘のエピソードをでっち上げてその頭に賛成/反対をくっつける」という練習をひたすらしてこれを突破したため、TOEFLに慣れたという感覚はあってもSpeaking能力が上がったという実感はほとんどありませんでした。
そのツケがいつかまわって来る予感は留学直前からありました。奨学金の為に必要なエッセイを 1,000 words 書くだけで何週間もかかってしまう、試しに英語でポッドキャストを聞いてみても二割もわからない、アメリカに住んでいる従妹にテレビ電話をかけてみると、自分の言いたいことがうまく出てこなくてなんどもフリーズする・・・「このままではまずい」という思いはなんども湧いてきましたが、「俺は別に英語を勉強したり、友達を作る為に行くわけじゃない。アメリカでコンピューターサイエンスを学んで自分の専門性を高めるんだ。」という言い訳がその不安に蓋をしました。

アメリカに来た直後

そんな状態でアメリカまでやってくるとどうなるか。一言で言えば辛いです。
意外なことに、授業にはわりとついていくことができました。授業では先生はゆっくり話しますし、一瞬聞き逃しても目の前の黒板や授業スライドを読めば今の話題がなんなのかがわかります。また、日本の授業とそこまで内容自体が違うわけではないので、日本でやったことをもとに内容を予測することもできます。あくまで僕の意見ですが、日本での平均以上に英語ができて、大学の授業にしっかり出ている人であれば、英語の授業についていくこと自体はそこまで難しくないのかなと思います。
しかし、教室から一歩出るとにかく会話に入ることができません。当たり前のことですが、日常会話で使われる英語はリスニング教材よりずっと速いです。例えば現地の学生と話すとき、一対一であれば相手が僕のスピードに合わせてくれるのでなんとか会話が成り立ったのですが、話す相手が複数人の場合、会話のスピードは彼らの普段の会話のスピードになります。言っていることが5~6割しかわからない上に、もしわかったとしても自分の言いたいことをまとめている間に話題が次に移ってしまいます。僕はわりと喋るのが好きだったので、日本にいるときは友人と喋るのがストレス発散になっていたのですが、こちらにきた直後は逆に複数人で話すたびにうまく会話に入れない自分にストレスをためていました。嫌になって自分の部屋に一日こもって日本語でYouTubeをみていたこともあります。
また、予想外のことが起きると全く対応できません。相手の言っていることが3割くらい聞き取れなくても、なんとなく相手の言っていることを文脈から予想できればその3割を自分の頭の中で補うことができます。今まで経験したことのない場面に出くわすとその補完が効かなくなるので、途端に相手の言っていることを理解するのが難しくなるのです。例えば、こちらに来てから起こったクレジットカードのトラブルを解決するのは本当に大変でした。僕は新しくアメリカの銀行口座とクレジットカードを新しく作ったのですが、どういうわけか自分の支払いを間違えて不正利用報告してしまい、カードが止まってしまいました。なんとかしようと思って銀行に駆け込んだのですが、なにせ日本でも経験したことのないことなので起こったことがうまく説明できないし言われていることもよくわかりません。あげく店舗に行っては「コールセンターに電話をかけろ」と言われ、コールセンターでは「実店舗に行け」と言われ、なんどもなんども銀行と自室を往復したのを覚えています。見知らぬ土地での初めての一人暮らしなので予想外のことはなんども起こるわけですが、その度に何が起こっているかを把握するのに余計な時間がかかり、うまく対応できないことにストレスが募って行きました。

さて、うって変わって今ですが、少なくとも言語を理由に辛さを感じることはだいぶ減ったなあという感じがします。相手が何を言っているか全くわからないことは少なくなりましたし、自分から発言できる頻度も増えました。
その理由は色々あるんですが、一つはただ単にこちらの生活に慣れたことだと思います。大学の施設や授業の名前、その他大学のみんなの共通の話題なんかがわかってきて、話の中身を何となく予想しながら聞けるようになりました。
また、話せない/聞き取れないことにあまり焦らなくなったことも大きいと思います。交換留学生のみんなを中心に、いつも話す人々と仲良くなったので、段々と別にちょっとうまく話せなくてもゆっくり待ってもらえばいいやという気持ちになってきました。また、僕はアメリカ英語以外のアクセントが苦手で、例えばイギリス人の友人と話すたびにうまく聞き取れず申し訳なく思っていたのですが、ネイティブであっても自分の慣れていないアクセントは聞き取りにくいということもわかってきました。友達が「〇〇(イギリス人)と〇〇(イタリア人)が話してたけど、あいつらそれぞれ別々の話をずーっとしてたよ」ということを教えてくれて、別に聞き取れないことを引け目に感じる必要はないんだなと思うようになりました。
一番大きいのは、めちゃくちゃな英語を思い切って書き起こしたり口に出したりする度胸がついたことです。思えばこちらにきたばかりの頃の僕は、できもしないのに「正しい」英語で話すことにこだわりすぎていた気がします。そのため、いざ発言しようと思っても頭の中で単語を探して文章を組み立てている間にそのチャンスが過ぎ去ってしまうことが何度もありました。英語のWritingに鬼のように時間がかかっていたのも同じ理由からでした。
しかし、ここではそれでは生きていけません。迫り来る宿題はちゃんと期限内に終わらせないといけませんし、こんな僕と仲良くしてくれている友人たちともっと仲良くなるためには、とりあえず何かを口に出さないといけません。その結果、別に「正しい」英語を使うことにそこまでこだわらなくなってきました。例えば何かを言おうとして、明らかに和製英語な単語しか思いつかなかったとき。昔の僕は口に出すのを躊躇していましたが、今なら迷いなく口に出せます。なんとなく伝わればそれでいいし、伝わらなかったら時間をとって説明すればいいだけです。
と、こんな状態なので、自分の英語が上手になったのかといわれると正直よくわかりません。僕はレポートを提出前に毎回 Grammarly (文章校正サービス) にかけるのですが、いまだに毎回何十本も赤線を引かれますし、友達と話していて「どういうこと?」と聞かれることも少なくありません。不正確な英語を使うことに躊躇がなくなった分、例えば TOEFL のスコアは2年前より低くなってしまうような気すらします。
それでも、この前イギリス人の友人と学校のカフェで話していたとき、「お前の英語めちゃくちゃうまくなったな!」と言ってもらえました。嬉しかったな・・・4ヶ月前よりちょっとだけ自信を持って、来学期も頑張りたいと思います。
f:id:liwii:20200123174047j:plain 写真が一枚もなくて寂しかったので、寮の前にいたキツネを載せて終わりにします。また来週〜。

Photos

ブログの名前が長いなと思ったので変えました。
今週はレポート提出 & 期末試験諸々があるのでちょっと写真を貼るだけにします。 f:id:liwii:20200117040018j:plain f:id:liwii:20200117040041j:plainf:id:liwii:20200117040044j:plainf:id:liwii:20200117040048j:plainf:id:liwii:20200117040050j:plain 「やったことじゃなくてこっちに来てから思ったことを書いてほしい」という意見があったので来週はそういう記事にしようと思ってます。それではまた。

勉強場所

こんにちは。正月休みが明けて、みなさんいかがお過ごしでしょうか。僕はレポート諸々の締め切りや期末試験を一週間後に控えながら、未だにダラダラと過ごしていることに焦りを感じています。
試験前ということで、今日は僕がいつも使っている勉強場所をいくつか紹介したいと思います。

自室

f:id:liwii:20200108165008j:plain 僕の部屋です。ここに来てから4ヶ月、整頓が苦手なのでずいぶん汚くなってしまいました・・・なぜか揺り椅子が用意されていたのでドッシリ座れないのも減点ポイントですね。
正直集中できないのであんまり部屋にはいません。ただ、忘れ物を取りに部屋に戻ったあと微妙な時間が残っていたときなど、たまに部屋で座ってカタカタしているときはあります。

1903 Basement

f:id:liwii:20200108165011j:plain 僕の住んでいる寮の地下にある共用スペースです。広い上に、基本的にあまり人がいないのでお気に入りの場所で、一人でいる時間の半分くらいはここにいる気がします(この記事もここで書いています)。またキッチンがついているので、お茶を入れたり、小腹が空いたとき用にラーメンを作ったりできるのも嬉しいところです。
最大の難点は、金土の夜はだいたいどこかの団体の飲みに使われていることです。今まで、扉を空けたらけたたましい音楽が鳴り響いていて「あっそういえば今日は金曜日だ・・・」となったことが何回もありました。また、なぜか中にトイレがないのもちょっと残念です。

Wilson Commons

f:id:liwii:20200108165014j:plain プリンストンの学部生は全員、6つある Residential College というもののどれかに所属することになっています。僕は Wilson College の所属なのですが、Wilson の学生用の共用スペースがここです。
今まであんまり使ったことはなかったのですが、奥の部屋で無料でインスタントコーヒーとスナックがもらえることに年始に気づいてから、ちょっとずつ使うようになりました。
見つけたときはあんまり人がいなかったんですが、冬休みが終わってから割と混むようになってしまいました。これからも使うかは要検討です。

Murray-Dodge Café

f:id:liwii:20200108165018j:plain Murray-Doge Hall というところの地下にある学生がやっているカフェです。タダで焼きたてのクッキーが食べられ、インスタントのコーヒーももらえます。
僕は結構ここでもらえるクッキーが好きなので、最低一日一回はここに来ている気がします。特にバタースコッチクッキーがお気に入りです。そのまま作業することもちょくちょくありますが、オーブンの熱でめちゃくちゃ暑い日があったり、歌のサークルのメンバーが練習をしていたりするので、長時間集中して作業をするのにはあんまり向いていない気がします。

Firestone Library

f:id:liwii:20200108165028j:plain 学校で一番大きい図書館です。開架書庫の規模は世界最大級と聞いたような?最近僕は歴史のレポートを書いているので、資料探しにお世話になっています。
綺麗な場所なんですが、なんとなくいつも暗いのと、人がいつも多いので僕はあまりすすんでここには行かないです。一部の交換留学生はここがすごく好きみたいで、WhatsApp グループで Firestone という単語はよく目にする気がします。

Marquand Art Library

f:id:liwii:20200108165024j:plain Department of Art の図書館です。Princeton University Art Museum の隣にあります。
綺麗で明るい上にそんなに人がいないので、雰囲気は素晴らしいのですが、コンセントのついた机が少ないのが問題です。また、入り口と出口でて荷物検査があり、何か食べ物・飲み物が入っていた場合は扉の外にあるキャビネットに置いて来なければいけません。これが面倒なので、最近はあまり言っていないですね・・・

Engineering Library

School of Engineering (工学部) 全体の図書館です。正直Firestone や Art Library と比べるとあんまり綺麗ではない上に、コンセントの形が特殊でMacbookの充電器を繋げないので、そんなにいいところではないです。CS Building からとても近いのと、手荷物検査が一切ないので、授業の合間にフラッと寄ったりはします。

Lewis Science Library

f:id:liwii:20200108165021j:plain 科学図書館・・・らしいです。有名な建築家の方がデザインしたらしく、なかなか奇抜な外装をしています(気になる人は調べてみてね!)。
僕のほとんどの授業が開かれている CS Building のちょうど反対側にあることもあって、なぜか食わず嫌いしていて、今日久しぶりに訪れました。中は綺麗だし設備も整っているし面倒な荷物検査もないしとてもいいところでした。これからも使うと思います。

ちょっと試験がやばい気がしてきたので、来週は写真をあげるだけにするかもしれません・・・再来週からまた頑張ります。

Christmas & New Year

あけましておめでとうございます!昨年は様々な方に記事を読んでいただけて、更新の励みになりました。ありがとうございました。これからも続けていきますので、引き続きコメントなどをいただけると嬉しいです。
僕はクリスマス〜年末年始にかけては主にプリンストンに滞在していました。今日はその時期のキャンパスや街の雰囲気について書きたいと思います。

キャンパスの雰囲気

12/13 から始まったプリンストンの冬休みには、基本的に学生はみんな自分の家に帰ります。そのため、キャンパスにはほとんど人がいません。(かくいう僕も、キャンパスに帰ってきたのはクリスマスの日でした)
f:id:liwii:20200103135240j:plainf:id:liwii:20200103135605j:plainf:id:liwii:20200103135215j:plain いつも軽食を食べる人で溢れている Frist Food Gallery も当然のように空席です。 f:id:liwii:20200103135213j:plain とはいえ、International Student を中心にキャンパスに残っている人もある程度はいます。この日は、ビリヤード & 卓球で遊んでいる人たちがいました。(なんでこの写真はこんなにブレてるんだろう・・・) f:id:liwii:20200103135631j:plain

Campus Club

休暇中は当然正規の Dining Hall は閉まっているので、僕はキャンパスに戻ってくるまでは食べものの心配をしていました。しかし、なんと晩御飯は毎日タダでいただくことができています。 

Campus Club | The Office of the Dean of Undergraduate Students

Campus Club は Eating Club の並び立つ通りにある、学生団体などが自由にイベントに使うことのできる施設です。誰のおかげかはわかりませんが、休み期間もここが毎日無料の晩御飯を提供してくれています。ありがたい・・・
f:id:liwii:20200103135245j:plainf:id:liwii:20200103135251j:plain この日のご飯はメキシコ料理でした。鶏肉が結構おいしくて、僕が食べた中ではかなり当たりの部類かなと思います。
ちなみに、このご飯は結構売り切れるのが早く、日によっては午後5時に全部なくなってしまったりもします。おかげで最近晩御飯の時間は5時です。早すぎるだろ・・・

クリスマス

クリスマスはなんとスイスからやってきた留学生の誕生日だったので、みんなでご飯を食べにニューヨークまでいきました。
f:id:liwii:20200103135205j:plainf:id:liwii:20200103135200j:plain クリスマスのニューヨークの写真です。意外にもそこまでの活気はありません。それもそのはず、どうも友人の話を聞いていると、「クリスマスは家で家族と過ごす日」という認識がこちらでは強いみたいです。実際、街中には中華料理屋さんくらいしか空いているお店はありませんでした(写真の中の Forever 21 も実際は閉まってます)。
これはヨーロッパでも同様なようです。あるヨーロッパからきた友人に「僕の大学ではクリスマスにも授業がある」という話をすると、信じられない、というような反応をされました。クリスマスというイベントへの認識の違いを感じますね。
ご飯をいただいたお店は中国火鍋 + 焼肉が同時に食べられるお店で、みんな大満足でした。 f:id:liwii:20200103135208j:plain f:id:liwii:20200103135254j:plain 誕生日祝いに着ぐるみのサルくんが出てきてくれたのですが、暑かったのか後ろのチャックが全開で、動きにも全くキレがありませんでした。この日は店内に何組か誕生日のお客さんがいたのですが、友達が見たところによると呼び出されるたびにガックリしていたそう。かわいそうに・・・

晦日 ~ お正月

晦日はキャンパスに残っていた交換留学生のみんなとご飯を作りました。本当はタイムズスクエアに行こうかと思っていたのですが、あまりにも多くの人々に「やめた方がいいよ!」という忠告を受けたので断念しました。「オムツがないと無理」と言われたこともあって、それは流石にいやだなあと・・・ f:id:liwii:20200103135219j:plainf:id:liwii:20200103135233j:plainf:id:liwii:20200103135226j:plainf:id:liwii:20200103135229j:plain f:id:liwii:20200103135156j:plain 割としっかりしたステーキを焼いてもらえたので大満足でした。感謝です。
そのあとは人狼ゲーム(彼らは"Mafia"と呼ぶらしいです)で盛り上がり、そうこうしているうちに新年を迎えました。実家にいない新年は初めての経験だったので、なんだか新鮮でした。
ちなみに、クリスマスと引き換えなのか、こちらでは新年はそんなに盛大に祝わないようです。クリスマスと違って割とお店も空いてますし、大学の施設も2日には通常通り動き始めるところが多いです。また、他の学生たちも1日から2日にかけて続々とキャンパスに帰ってきているような気がします。もう誰もいないシャワールームで大声で歌ったりできないのが悲しいですね・・・

改めまして、今年もよろしくお願いいたします。次回はいつも使っている勉強場所について書こうと思います。お楽しみに!

シアトル

Merry Christmas!! みなさんいかがお過ごしですか?僕は聖なる夜をニュージャージーへ帰る飛行機の上で過ごすつもりです。(この日が一番安かったんだ・・・)
今日はせっかくなので、シアトルで訪問した場所をいくつかピックアップしたいと思います。

Pike Place Market

最初に紹介するのは、Pike Place Marketです。1907年から運営されている全米で最も歴史ある市場の一つだそうです。*1
訪れた日は土曜日だったので、人でごった返していました。 f:id:liwii:20191225055916j:plain f:id:liwii:20191225055937j:plain 市場自体は海に面しているので、海産物が主に取り扱われているのかと思っていたのですが、意外と花なども多く売られていて、見ているだけで楽しかったです。 f:id:liwii:20191225055926j:plain f:id:liwii:20191225055930j:plain 市場から一歩外に出ると、このように海が見えました。いい眺めでした。 f:id:liwii:20191225060712j:plain

First Starbucks

Pike Place Market の横の道路には、世界で初めてのスターバックス・コーヒーの店舗があります。
f:id:liwii:20191225055935j:plainf:id:liwii:20191225055927j:plain これだけ小さなコーヒーショップが今では世界に広がる巨大チェーンになったと考えると夢がありますね。ご覧の通りものすごく混んでいたので、僕たちはコーヒーは頼まずに中をぐるっと見て出てきました。味は一緒だと思うけど、どうなんだろう・・・

Gum Wall

これもPike Place Market の横にある観光名所です。
f:id:liwii:20191225055943j:plain 一見ただのカラフルな壁に見えますが、その名の通り壁を彩っているのは訪れた人々が実際に噛んだガムです。初めに聞いた時は「うえー汚い」というのが感想だったんですが、いざ目の前にすると乾燥しているためかそこまで汚い印象はありませんでした。絶対に触りたくはないですが。 f:id:liwii:20191225060623j:plain 自分の名前を作ったり、名刺をガムと一緒に貼り付けたりしている人が印象的ですね。実際に連絡が来たりするんでしょうか。

Woodland Park Zoo

僕が泊まらせてもらっていた叔父さんの家の近くにある動物園です。日曜日に訪れたんですが、そこまで混んでいなくてゆっくり動物を見ることができました。(ご想像の通り、他のお客さんのほとんどは小さいお客さんを連れたご家族だったのでちょっと場違いな感じはありましたが・・・)
ここでは、印象に残った動物をいくつか紹介しようと思います。

オランウータン

f:id:liwii:20191225060057j:plain しばらく展示の中を探してもいなかったので下を向いてみたら寝てました。疲れてそうだな・・・

マレーグマ

f:id:liwii:20191225060124j:plain この黒いモコモコは熊です。わかりにくいかもしれませんが、こちらに背中を向けて丸まっています。しばらくこの状態をキープしていたので、何の生物か判定するのに結構時間がかかりました。

ミーアキャット

f:id:liwii:20191225060004j:plain ミーアキャットってこんなにずんぐりした体型でしたっけ?僕の記憶だともうちょっとスラッとしたフォルムだった気がします。動物園でいいものを食べて太ってしまったのかもしれませんね。まあ可愛いのでよしとしましょう。

キリン

f:id:liwii:20191225060003j:plain 僕は大きくなってから、動物園でキリンを見るのが楽しみになりました。子供の時って周りのもの全てが大きいのでキリンの大きさについて実感がわからないんですが、自分はこれ以上大きくならないと知ってからキリンを見るとこれだけ大きい生き物が存在することのすごさをより実感できます。シアトルのキリンも期待を裏切らない大きさでよかったです。

水鳥

展示されていた水鳥がだいぶ人に慣れていたので、横にあった25¢の餌を買って手から食べてもらおうと思ったのですが見事に無視されてしまいました。悲しい・・・

リス

例によってシアトルにもリスがいっぱいいます。彼らは別に展示されている訳ではないのですが、心なしか大学で見るリスより生き生きしているように見えました。 f:id:liwii:20191225060053j:plain お母さんのいない隙を見計らってベビーカーによじ登るリス f:id:liwii:20191225060102j:plain ゴミ箱からプレッツエルを盗み食いするリス

University of Washington

ワシントン州最大の公立大学です。コンピューターサイエンスにもかなり強く、聞くところによるとMicrosoftの社員で最も多いのはここの卒業生だとか。ちなみに、"Washington State University" や "Washington University" とよく混同されるので注意が必要です。
f:id:liwii:20191225060138j:plainf:id:liwii:20191225060137j:plainf:id:liwii:20191225060121j:plainf:id:liwii:20191225060125j:plain キャンパスはとても広く、建物も綺麗なものが多かったので印象は非常によかったです。ただ、冬休み中の日曜日に訪れてしまったので、建物はほとんど空いておらず、中を歩いている人も観光客がほとんどのように見受けられました。残念。もしまた来られる機会があったら、建物の中や学生の雰囲気ものぞいてみたいですね。

Amazon Go

f:id:liwii:20191225060213j:plain レジなしで買い物ができる噂のコンビニ、Amazon Go にも行ってきました! f:id:liwii:20191225060231j:plain 中にはこのように入退場のゲートがあります。あらかじめAmazon Go アプリをダウンロードして、クレジットカードなどの設定を済ませてから、アプリで表示されるこのようなバーコードを入場ゲートにスキャンすることで中に入ることができます。 f:id:liwii:20191225060343j:plain あとは棚に並んでいる好きなものをとって再び退場ゲートをくぐると(あまりお腹が空いていなかったので買ったのはグミ一袋だけです)、 f:id:liwii:20191225060220j:plain f:id:liwii:20191225060229j:plain このようにクレジットカードから自動的に料金が引き落とされてメールが来ます。 f:id:liwii:20191225060348j:plain 商品を手に持ってそのまま店から出てこられるのは確かに不思議な感覚で、Amazonの技術力のすごさを感じた気がします。一方で、お客さんへの説明は商品の陳列をする店員さんが複数人いたり、入退場の時はちゃんとゲートを通らなくてはいけなかったりするので、「夢の無人コンビニ!」という印象にはあと一歩及ばない感じがしました。5年、10年後にどこまで進化していくのかが楽しみですね。

その他

全体的に街に面白い建造物・オブジェなどが多く、街を歩いて楽しかったです。いくつか写真を載せます。 f:id:liwii:20191225060258j:plainf:id:liwii:20191225060256j:plainf:id:liwii:20191225060236j:plainf:id:liwii:20191225060210j:plainf:id:liwii:20191225060201j:plainf:id:liwii:20191225060150j:plainf:id:liwii:20191225060147j:plain

と、いう訳でシアトル観光でした。結構雨が降る日が多かったので、滞在日数の割に巡れた場所は少なかったのですが、それなりに楽しめたかなと思います。
これが2019年最後の投稿です。来週は、冬休み中のキャンパスの様子について書けるといいなと思っています。それではみなさん、良いお年を!

今学期プリンストンで受けた授業の振り返り

この記事はISer Advent Calendar の18日目です。 f:id:liwii:20191217164336j:plainf:id:liwii:20191217164339j:plain プリンストンは先週の金曜日から冬休みなので、休みを使って叔父と叔母の住むシアトルにきています。めちゃくちゃ雨が降る気候、美しい港、思ったより悪めの治安・・・今まで訪れたどの都市ともやっぱり違って面白いです。
冬休みの後には試験があったり、レポートの提出期限が来たりするのですが、基本的に秋学期の授業はもうこれですべて終わりです。せっかく学科の同期のAdvent Calendar に入れてもらったので、今日はCSの授業を中心に今学期に受けた授業を振り返っていきたいと思います。

COS 326 Functional Programming

概要

文字通り、関数型プログラミングについての授業です。OCamlという関数型言語を題材に、

  • OCaml自体の言語仕様
  • OCamlで書いた関数についての証明
  • 関数型言語の特徴を生かしたプログラムの実装(言語処理系、並列処理など・・・)

を主に扱います。 教えてくださったのはAndrew Appel先生。 Modern Compiler Implementation in ML という著書が有名で、東大の授業でも使われています。

授業HP

COS 326: Functional Programming (Fall 2019)

受講理由

日本にいた時から知っていた先生の授業を受けてみたかった、というのが大きいです。また、この授業が春学期に予定されている Programming Language という大学院生向けの授業の履修要件であったことも理由の一つです。OCamlによる関数型プログラミング自体は東大でもやっていたのですが、日本で受けた授業がどのくらいこちらの授業の内容をカバーしていたのか自信がなかったので履修を決めました。

感想

結論から言えば、難しくはなかったです。少なめに見積もっても、授業でやったことの7割程度はすでに東大でやったことだったと思います。
基本的なOCamlの言語仕様については当然すでに触れていましたし、証明は機械的に関数適用を置き換えていけば明らかなものが多かったのであんまり頭を使うことがなかったような気がします。ちょっと後悔もありますが、そのおかげで色々辛かった最初の2ヶ月を乗り切れた面もあるのでよしとしましょう。
とはいえ、東大ではやっていなかったものもあります。例えば課題は割と実用的なアプリケーションっぽいを作るものが多く、うまいこと並列処理をしながら与えられたHTMLの束にインデックスを貼ったり、遅延評価を使って無限の大きさのスプレッドシートを作ったりするのは楽しかったです。 また、東大にいた時よりもModuleなど一部の機能についての理解は深まった気はしますし、来学期にやるであろう「プログラムについての証明」の入門編としても辛すぎずちょうどよかったのかなあとも思います。
余談ですが、Appel先生はなぜかプリンストンの3年生にあんまり人気がありません。別に授業が悪いとは思わなかったので不思議に思っていたのですが、よくよく聞いたら2年生むけの(ほぼ)必修授業を受け持って、先生の専門に全然関係ないので適当にやっていたかららしいです。どこかで聞いたことある話だな・・・

COS 429 Computer Vision

概要

コンピューターに画像or動画を投入してなんか情報を得ようぜ!っていう分野の授業です。CGなどの画像・動画を作りだすComputer Graphicsとはまた違う分野らしいです。
講義の2/3はComputer Visionの世界で使われてきた古典的なアルゴリズム機械学習を含む)についての説明、残りの1/3はディープラーニングの基礎とそのComputer Vision への応用、という流れで講義が進みました。
担当はOlga Russacovsky 先生。女性の先生です。 ImageNetというデータセットとその上での画像認識コンペティションについてまとめた論文のFirst Authorで、13721 という意味のわからない量の引用があります。

授業HP

COS 429, Fall 2019: Course Home

受講理由

実は東大の先生に1人だけプリンストンの先生を紹介していただいたのですが、その先生はComputer Graphicsの先生でした。当時は違いがわかっていなかったので、せっかくなのでということでComputer Visionを受講しました。

感想

前半はかなり面白かったです。割と単純なアルゴリズムでも、顔認証などの一見複雑な問題に対してかなり高い精度が出せるのが驚きでした。
一方で、後半のディープラーニングの授業はかなり基礎的な内容が多く、僕でももともと知っていることが多く退屈でした。さらに、前半で説明された多くの問題は結局ディープラーニングのネットワークに突っ込んだ方が高い精度が出たりすることもわかって残念でした。しかし、この時代に「コンピューターサイエンスを専攻しています」と名乗るためにはやはりディープラーニングの基本の基本くらいは頭に入れておいた方がいいような気がするので、それができたのはよかったです。
宿題は「顔認証プログラムを作れ」などの一見大変そうなものが多かったのですが、蓋を開けてみるとほとんどの部分をTAさんが書いてくれていて、ところどころある Fill here! って書いてあるところを埋めるだけでよかったのでそんなに大変ではありませんでした。それでいて結構視覚的にわかりやすく結果が出たので、毎回楽しむことができました。ディープラーニングのBackpropagation (逆伝播) を自分で実装する課題もあり、頭でわかっていたつもりの内容についてさらに理解が深まりました。
ちなみに、去年まではディープラーニング以外の課題は全てMATLABで書かれていたそうですが、今年全てコードをPythonに入れ替えたそうです。TAの皆さんの尽力に頭が下がります。彼らの多くは中国からきた僕と年の近いPh.Dの1年生なので、僕ももっと頑張らないとなあという気持ちになりますね。
これから期末試験の代わりのFinal Projectがあります。僕は友達の韓国人と一緒にやる予定です。彼はTensorflowのContributorで、話せば話すほどすごいなあと思える人なので、一緒にプロジェクトができるのがとても楽しみです。

COS 432 Information Security

概要

これもその名の通り情報セキュリティについての授業です。前半は共通鍵暗号公開鍵暗号Diffie-Hellman 鍵暗号など、通信のセキュリティを支える基本的なアルゴリズムの紹介がメインでした。後半はWebセキュリティ、ネットワークセキュリティ、暗号通貨などのバラバラなトピックについてそれぞれ講義がありました。
講義をしてくださったのはEdward Feltein先生。アメリカの連邦取引委員界の最高技術者だった方らしいです。すごすぎてよくわからないですね。

授業HP

Information Security

受講理由

セキュリティに詳しい学科同期にFelten先生について教えてもらったのが理由の一つです。スイスから来た交換留学生たちも受講するということだったので、一緒に受けることにしました。

感想

今学期とった授業の中で一番好きかもしれません。まずFelten先生がカッコ良いです。シャツの袖をまくって一言一言はっきりと講義をするところが非常に様になっています。年をとったらああいう風になりたいなあと思わせてくれる人です。
授業の内容も非常にわかりやすくてよかったです。特に前半は、
「AがにBに第三者に情報を漏らさずにメッセージを送りたいとしよう。でも、『第三者に情報が漏れる』ってどういうことだろうか?ここでは、『中間攻撃者Mが◯と◯の違いを〇〇%以内の確率で見分けられること』と定義しよう」
といった感じで、「安全」や「秘密」という曖昧な問題をしっかり定義に落としこんで一歩ずつ話を前に進めていくことが多くて、楽しむことができました。
反面、後半の講義は個別のトピックを1回完結で1つづつ扱っていくので、ちょっと散漫な感じがしました。しかし、宿題は

  • キャプチャされたパケットを解析してネットワークの用途を分析する
  • 用意されたWebサイトの脆弱性を攻撃する
  • Virtual Box上の仮想マシンの中で仮想の殺人事件に関する証拠を探す

など、実践的なものが多くて楽しかったです。授業HPから誰でもダウンロードできるので、年末時間のある方は挑戦してみてくださいね。

HIS 270 | AMS 370 Asian American History

概要

アメリカのアジア系住民の歴史の授業です。19世紀の中国人排斥運動から始まり、1940年代の日系人強制収容、20世紀後半のベトナム系・カンボジア系の難民の話など、幅広い年代・民族をカバーしています。
講義に加えて少人数制の授業(Precept)もあり、毎週事前に資料を読んできてからその内容についてディスカッションを行います。
担当はBeth Lew-Wiliams先生。おじいさんが中国からの移民らしいです。

授業HP

なし(あるにはありますが、プリンストンのIDでログインしないと見られません)

受講理由

僕たちには一人一人Acadmic Advisorという担当の先生がついて、学期が始まる前にその先生と履修について相談することができます。僕の担当は Brian Kernighan先生という方なんですが、この方はコンピューターの世界の歴史に名が残るような偉大な方なので、僕はこの方のいうことならなんでも聞こうと思っていたのですが、いざ相談に行ってみると
Koki! せっかくだから Humanity の授業もとった方がいいよ!これとかいいんじゃない?」
と言って全く考えていなかった歴史の授業をオススメされました。僕はもともとコンピューターサイエンスの授業以外をとる気はあまりなかったのですが、せっかくオススメしていただいた授業を取らないわけにはいきませんでした。

感想

結論から言えば、これが一番とってよかった授業かもしれません。
メインのトピックはAsian Americanなんですが、実際は黒人やラティーノといった他のマイノリティも比較のために何度も登場するので、実際に学べるのはアメリカのマイノリティの差別の歴史です。いかにマイノリティが一貫しない論理に基づいて差別されてきたか、その差別がどのように収束していって、どのような形でまだ残っているか・・・ ある意味アメリカだからこそ学べるこの問題について学べたことは本当に意義深かったと思います。
また、全く新しい分野の授業を受ける経験ができたのもよかったです。週100ページの英語のリーディングに苦しみながらも手を抜きながら全体像を把握する方法を見つけたり、最初は全く発言できなかったディスカッションで徐々に下手くそな英語で授業に貢献できるようになったり、慣れない歴史のレポートの方向性をTAと話し合いながら見つけていったり・・・今まで経験したことに挑戦しながら、自分の成長を実感できた授業でした。

この違いが国によるか、教科によるものかはよくわかりませんが、日本にいたら絶対に経験していないことは確かです。留学してよかったなあと思える授業でした。

IW08 Empowering the Citizen Scientist

概要

プリンストンのコンピューターサイエンスの3年生には、自分で考えたプロジェクトを学期を通して行い、プレゼン・レポート執筆をする Independent Work という授業があります。本当は全員が一人一人教授に直接自分のやりたいことをメールで伝えて、アドバイザーになってもらうのが理想なんですが、経験がないとなかなか難しいものです。そういう人に向けた授業がIndependent Work Seminarです。これに参加すると、あらかじめ用意されたトピックに基づいて8人ほどでまとめてアドバイスを受けられます。
僕が選んだテーマは、"Empowering the Citizen Scientist"。 研究組織に属さずに集まって科学的成果を出そうとしている "Citizen Scientist" のみなさんをコンピューターの力で助けようぜ!っていうのが主な内容です。
アドバイザーはDavid August先生。本当はコンパイラが専門らしいのですが、内容的にコンパイラについてやっている人はいなかったので、一般的な研究の進め方、発表の仕方についてアドバイスをいただきました。

授業HP

Independent Work Seminar Offerings - Fall 2019 | Computer Science Department at Princeton University

受講理由

こちらにきたばかりの時はアメリカの大学院にいくことを結構真剣に考えていました(今もなくはないです)。そして、そのためにはそろそろ何か研究のようなものを始めないとという焦りがありました。
そのためにIndependent Workはうってつけだったのですが、かといって何かアイデアがあるわけでもなかったので、適当なIndependent Work Seminar に入れてもらいました。

やったこと

ある友人がShojinmeat Projectという人工培養肉を作っている団体に所属しています。彼に何かできることはないかヒアリングをした上で、ディープラーニングを使った自動細胞カウンターを作りました。

感想

やっぱりただ宿題をやるのとはわけが違いますね・・・授業を受けながら自分でテーマを決め、データを集めて、実験して何かしらの結果を出すのは大変でした。例えばどんな困難があったかというと、

  • 使うデータセットを見つける前にテーマを提出してしまったのですが、そのあと全く細胞画像が見つかりませんでした。色々な人に聞きまくっていたらたまたまあった方に画像を提供していただけました。ありがたかった・・・
  • いただいたデータはただの画像なので、細胞の位置の正解データを手で付け足してあげる必要があります。最終的には、8000個以上の細胞の位置を手動でラベル付けしました。作業中はずっと頭の中が空っぽでした。
  • 始めた時はディープラーニングに不慣れだったので、正しい作法を覚えていくのが大変でした。自分のラップトップのCPUで学習をしようとしたらPCの動作が尋常じゃないくらいガクガクし、充電器を繋いでもなお充電が減っていくほど電力を消費し始めて頭を抱えたのはいい思い出です。
  • モチベーションを保つのが大変でした。なんとなく始めたプロジェクトだったので、10月あたりには「あれっ、俺これ全然やりたくないな・・・」という気持ちが芽生えてきて結構辛かったです。とは言え、成果がこんな風に目に見えるようになって来てからは楽しむことができるようになりました。 f:id:liwii:20191217164119j:plain 慣れない環境・慣れない分野で1から考えたプロジェクトがなんとなく形になった、ということは自信に繋がりました。 これから20ページの Final Paper を書かないといけないんですけど、頑張って乗り切りたいと思います。

    全体を振り返って

    全体的に言えば、授業は面白かったです。特に、Independent Workを中心として「ざっくりテーマが投げられてやることを自分で考える」課題が日本と比べて多く、それとしっかり向き合うことで力がついた気がします。
    反省点としては、

  • Application 寄りの授業ばっかりとってしまいました。全体的に授業自体が難しい、理解できないということはあまりなかったのですが、それは理論の授業をとっていないからな気がします。プリンストンは理論に強い学校だと周りの学生が口を揃えて言っているので、次回はもっと理論の授業を増やしたいです。
  • 授業を選ぶ基準が、「自分がやりたいから」というより「あの人が言ったから・・・」だったことが多かったように思います。特にComputer Visionは紹介してもらった先生になんとなく近づきたかったというだけがとった理由ですし、Independent Work もそれに寄せたテーマを選んだ部分があります。その結果途中だいぶ辛かったので、やはり自分の興味を優先するのは大事ですね・・・。来学期はもっと自分は何をやりたいのかをちゃんと考えて授業を選ぼうと思います。

今学期の振り返りはこんな感じですね。うまくいかなかった部分も多いですが、「まあ最初の学期だし」といって自分を慰めています。とりあえずはこれからのレポートと、迫り来る期末試験を乗り切りたいと思います。
Advent Calendar の方では、明日はEnjapmaくんがゲームの話をしてくれるそうです。お楽しみに!